呼吸と頭蓋リズム

〜触れることでわかる、自律神経の今〜
臨床セラピスト治療家塾 RooTs レポート

今回のRooTsでお伝えしたかったのは、新技でも秘技でもありません。
派手な操作も、ゴッドハンド感も封印です。

テーマはただひとつ。
「身体はすでに語っている。それをどう聴くか」

とても地味で、とても難しい話です。

「頭蓋」と聞くと、
「本当に動くの?」
「どうやって動かすの?」
という話になりがちですが、今回のスタートは真逆。

「動かそうとしないでください」

この時点で、何人かの手が少しソワソワしていたのを私は見逃しませんでした(笑)

頭蓋の動きは、術者が起こすものではなく、
呼吸とともに勝手に起きてくる反応です。

見るべきは
・大きさ
・左右差
・テクニックの上手さ
ではなく、

・リズムがあるか
・途切れていないか
・呼吸と連動しているか

この3点だけ。

呼吸は自律神経を映す鏡です。
吸気では身体は集まり、準備モード。
呼気では広がり、回復モード。

頭蓋もそれに合わせて、
「はい、今ゆるみます」
「今ちょっと緊張します」
と、ちゃんと教えてくれています。

臨床でよく見る反応としては、
・呼気で緩まない
・吸気で一気に固まる
・後頭骨がついてこない
・途中で動きが止まる
・全体的に浅い

どれも異常ではありません
今のその人の「正直な状態」です。

評価とは、ジャッジではなく理解。
身体に×をつけないこと。

今回特にお伝えしたのが
「やってはいけない介入」

・無理に緩める
・深呼吸させる
・止まるところを突破する
・動いている所をさらに動かす

施術してる感は出ます。
でも、身体的には
「ちょ、やめて」
となっていることが多い(笑)

大切なのは変化を起こすことより、
変化が起きる条件を壊さないこと

触診は操作ではなく対話です。
こちらが焦ると、身体は黙ります。
こちらが待つと、身体は語り出します。

みんなが言っていた
「何もしない方が難しい」
という言葉、まさにその通り。

この技術は
「できるようになる」ためではなく
「やりすぎなくなる」ための技術です。

久しぶりにRooTsらしい時間を担当させていただいたなと感じました(笑)
その後のクリスマスパーティーは大盛り上がり。
でも帰り道、異常に眠い。

あのソフトな刺激で自律神経が整っていた証拠ですね。

今回も、ありがとうございました。

えじり