3回にわたって取り組んできたMOVテクニック基礎。ついに「基礎のそのまた基礎」までたどり着き、ひとつのテクニックとして、ようやく骨組みに血が通った感覚があります。まだ完成形ではないにせよ、確実に“形”になった。そんな手応えを感じています。
MOVで大切にしているのは、症状を追いかけないこと。痛みや不調という“結果”に飛びつくのではなく、「頭蓋骨は正常な位置にあるか?正常な動きをしているか?」という“原因のもっと手前”を丁寧に観察すること。まるで名探偵のように、現場に残されたわずかな歪みの気配を見つけていきます。
歪みを見つけたら、次は矯正。そのために欠かせないのがコンタクトポイントとセグメンタルコンタクトポイント。ここが曖昧だと、どんなに志が高くても、手応えはぼやけてしまう。逆に、ここがピタッと決まると、安心感のある、芯の通った矯正になります。スタンスを整え、手をつくる。たったそれだけのことなのに、されどそれだけのこと。土台が安定すると、テクニックは驚くほど素直に決まります。
そして今回のハイライトのひとつが、蝶形骨TSラインの活用。頭蓋の小さな変化が、筋肉や脊椎と反射でつながり、全身へ波紋のように広がっていく。頭を触れているはずなのに、背中が変わり、脚が変わり、呼吸が変わる。その瞬間は、毎回ちょっとした魔法を見ている気分です。もちろん種も仕掛けもあるのですが、それでもなお「おお…」と心の中でつぶやいてしまう。
さらに、前頭骨を前方へ引くテクニック。これがまた、いい。何がどういいのかと聞かれると、言葉が一瞬どこかへ逃げていきます。でも、確実にいい。今まで味わったことのない感覚、としか言いようがないのです。受けた側は、ふわっと広がるような、でも芯は整うような、不思議な変化を感じる。やっている側も「あ、今つながった」という瞬間がわかる。この感覚を共有できたときの空気は、なかなかに熱いものがあります。
文字にすると少し難しそうに見えるかもしれません。でも実際にやってみると、とても心地が良い。そして確実に身体が変わる。型が整っていればいるほど、その変化は面白いくらいに現れます。まるで精密な鍵と鍵穴がぴたりと合うように、身体が「あ、そこです」と教えてくれる。
講義中、技術の話が続くと眠気との戦いになることもありますが、今回は違いました。誰ひとり欠伸をしない。全員が小さな頭蓋骨の動きに全集中。わずかな可動を感じ取り、ミリ単位の変化を追いかける。その真剣なまなざしは、まるで職人の工房のようでした。
患者役もただ寝ているだけではありません。感じたままを素直に伝える。「今、広がった感じがする」「少し圧が強いかも」その一言が、術者の感覚を研ぎ澄まし、テクニックをさらに洗練させていきます。お互いが観察者であり、研究者であり、協力者。とても素敵な空間でした。
MOVテクニックは、派手さはありません。けれど、静かな確信があります。小さな動きを丁寧に扱うことで、全身が変わる。そのプロセスを体験すると、「もっと知りたい」「もっと上手くなりたい」と自然に思えてくる。
これからさらに深めていくのが楽しみです。一緒に学ぶと、きっとこの“言葉にしきれない良さ”を体感できます。頭蓋骨という小宇宙を旅しながら、身体全体のつながりを探る時間。真剣で、でもどこかワクワクする。
本当にありがとうございました。
次のステップも、ぜひ一緒に。身体が変わる瞬間を、また共有しましょう。
江尻