リコイルというテクニックが出来るようになるまで9年かかった。
出来た嬉しさゆえかそれ以来、隙あればこのテクニックをあらゆる手技に付け加えてしまう癖が付き、奈良の大先輩である中村女史に「オカメ、その技リコイルするように習ったんか?何でもかんでもリコイルしたら、、あかんで!」と、たしなめられてしまった程である。
そんな訳で今回の「先輩の技」は、脊柱の動きをつける手技を紹介させてもらったが、当たり前のようにリコイルのテクニックが入っている。
人さまに、それも自分が考えた技を教える日が来るなど考えもしなかったけれど、インプットよりアウトプット!とは本当で、この「教える」という機会から学んだことは大きかった。
「教える」とは「伝える」ことでもある。
「伝える」ためには「伝わるように伝える」ことが大事である。
この「伝わるように~」のくだりは、頭がクラクラするほど師匠から言われ続けた話だけれど、これがやっぱり難しい。
今回「先輩の技」を行うに当たって自分なりに解剖学、臨床、説明方法と一生懸命準備したつもりだったが、残念ながら技の一番のポイントを殆ど説明しなかった。結果、一番そこの部分に後で質問が集中することになる。
なぜ説明しなかったのか。
それは、自分にとってのポイント(伝えたい)は、自分が一番こだわって考えた技の方向や角度、圧であり、皆がポイント(知りたい)と考えたリコイルは自分にとってはオマケで、殆ど手癖のついでのテクニックのつもりでいた事にある。
自分が一番伝えたいことが、相手の一番知りたいこととは限らない。
「伝わるように伝える」とは、相手が何を一番知りたいかを考える事だということを痛感した。
整体ってなんですか?
この質問の答えに一番窮するのは実は整体師であることを、整体師ならみんな知っている。
その答えを上手く言えるようになったら、私も「伝える」ことのプロになれるだろう。それを実感として学ばせてもらい、道のりはまだ遠いけれど、考え方の糸口を見せてもらった一日だった。
オカメ