本要約チャンネル マサさん

思いがけず利他 著者 中島岳志

この本を選んだ理由

これまでに読んだ本を振り返りますと、サラリーマンをしていた頃は司馬遼太郎の時代小説、藤沢周平の人情話、管理職になってからは、「人を動かす」を読んでいました。

開業後は、整体師としての在り方や、人の助けになること、ボランティアなどに関心があったからか?本屋でこの本を手に取りました。利他という言葉に馴染みはなかったのですが、冒頭で落語「文七元結」や、立川談志が紹介されており、何故だか面白そうと思い買っていました。

本の要約

最近のコロナ渦で、利他に関心が高まっています。マスク、行動自粛、ステイホーム、寄付、クラウドファンディング等。しかし、利他には胡散臭さや、偽善、負債感や暴力的といった面がつきまといます。著者は、利他の本質は思いがけなさ、人の意思を越えたものであり、これからの時代を拓くものと考えています。

落語「文七元結」では、博打で借金しどうしようもない男、長兵衛が偶然身投げを止めた、名も知らぬ若者に娘を売って得た五十両を差し出してしまいます。この時、長兵衛は若者に共感したのでなく、「江戸っ子だから」という理由で若者を助けた、と談志は解説します。著者は、業の力(人間のどうしようもなさ)がオートマテカルに働いたため、利他が長兵衛にやって来た、と解説します。そして、利他は対価で支払われるものでなく、例えそれが高価でも、低価でもその関係性が継続するものと言っています。(人間は器であり、利他は、人から人へ、過去から未来へと続いていくものだから)

本の感想

私は「利他」を「ギフト」ととらえました。患者さんとの関係で、過去の先生から教わった技術や言葉、多くの先輩より頂いたギフトを私が器となり、患者さんに提供します。そしてそれが将来、未来に患者さんが私が送ったギフト、すなわち「利他」を受け取ったと感じて貰えたら、それが私の整体師としての業なのかなと、思いました。そして、利他という発想により、患者さんとの「支配」や「負債」から離れることを目標としていきます。

この本を読むことで、私の「整体師としての在り方」を考える良い機会になりました。

このような機会を頂き、本当に感謝いたします。